自社で手掛けるさほらぼの庭。
土木部が植栽の買い付けから植え込みまで全てを手掛ける庭に、
もっとたのしめて、もっと季節を感じられるものをつくりたいと始まった庭のしつらえ。
開発したのは、庭に置く石の穴に刺さった季節の道具 ”SUTON” です。
SUTONの由来は
置く・・・ストン
石・・・ストーン
刺す・・・ストン
鳥のエサや風鈴、蚊取り線香に行燈など、
庭の緑を感じながら、季節によって吊るすものを変えて目や耳を楽しませてくれる道具です。
最初の試作はこんな感じに。
風鈴を吊るして雰囲気を確認し、イメージを沸かせます。
絵に描いて図面をつくるだけではわかない雰囲気や問題点など、
実際に試作することで課題がみえ、意見を出し合っては試作し、試作しては修正と、
試作はとても大切な工程なのです!
角度を決めて、
色々な機械で加工をして、
SUTONを支える石に穴をあけ、
ちょっと眺めてみて、
(・・・ピントが、違う!!)
いいな~~でもなんか違う… と、加工を繰り返し、
だんだん形がみえてきました。
米を吊るして、鳥を呼び寄せてみたり。
どんなものを吊るせるか、どんなものを吊るしたら楽しいか
吊るすものにも視点を当て完成に近づけていきます。
デザインで一番重視したのは、”いつもの庭”を邪魔しないデザインであること。
目立たないけど、さり気なく四季を感じさせてくれるデザインであること。
形は単純ですが、完成まで1年を費やしました。
素材、太さ、角度、加工方法、調整器具など決めることはたくさん…
外に置くものなので、腐らない・錆びない耐食性のある素材且つ、
少し重さのあるものでも吊るせる耐久性のある素材をと検討し、
耐食性も耐久性もあるステンレスを採用しました。
ステンレスにも種類や仕上げ方は様々です。
検討した中でも、ホット材は光沢がないため、
”目立ちにくい” デザインにはぴったりでしたが、
釣り竿のような細さが再現できなかったため断念…
竿の細さを優先させ、ある程度光沢が少ない2B材という素材に決定しました。
また色々なものが吊るせるように、
重さに合わせて竿部分がスライドできるように仕込んであります。
支える軸に対して斜めの竿を取り付けるため、
溶接という金属同士をつなぐ加工をして一体化させるのですが、
軸も竿も部材が細く角度もあるため、綺麗に収めることに苦戦しました。
さらに、スライドできるためストッパーの金具も必要です。
始めはイモネジという金具を使用して目立たないようにしていましたが、
イモネジは取り付けにドライバーが必要になるため、
スライドしたいときにドライバーがないとできないという問題点もあり、
あえて目立つ金具にしてみようということで、
簡単に取り外し可能な、蝶ネジを採用しました。
試作に試作を重ね、ついに完成!
完成後は、スタッフが好きなものを好きなように吊るして
自分で撮影をして、写真の撮り方も勉強しました。
ちょこっとSUTONの使い方をご紹介👇
(※タイトルは勝手につけさせていただきました)
エントリーNo.1 テクニカル 五藤
タイトル 雪の日
ソーラー充電式のランタンがぶら下げてあります。
あえて夜ではなく、雪の日です。
エントリーNo.2 土木部 佐々木
タイトル 蛍
こちらは夜の写真。大きな蛍(?)が飛んでいるような色の照明。
ちゃんと重さにあわせて竿をスライドしているので安定していますね。
エントリーNo.3 土木部 森田
タイトル 宙に浮く植栽
ん?!ただのSUTON?
と、思いきや丸いガラスの中に植物が…庭の植栽と馴染みすぎ!👏
エントリーNo.4 土木部 小阪
タイトル SUTONはどこへ
タイトルの通り、夜はほとんど姿を消すSUTON
コンセプトが伝わる写真ですね。
エントリーNo.5 ディレクター 杉原
タイトル 落下せん
落花生ですが、落下しません。
鳥のエサとして吊るしていますが、今だ、食べてくれません。なぜ?
エントリーNo.6 大工 赤田
タイトル 木鈴(きりん)
木の廃材で作った大工ならではの作品。風鈴ならぬ、木鈴。
意外といい音鳴るんですよ! 木鈴~きりん~
エントリーNo.7 ディレクター 谷口
タイトル 苔玉
さすが、SUTONの表紙を飾っただけあります。
さりげなく、庭に馴染んでいますね~
ご覧の通り、好きなものを吊るして愉しんでおります。
(何も言わなくても「春夏秋冬」それぞれのパターンを
再現してくれるスタッフ、参考になりますね。)
深い軒下のウッドデッキに座って、庭の緑をたのしむ。
そこには目立たないけど、さり気なく、
四季の美しさを感じさせてくれるものがある。
吊るすものはご家族によって様々です。
家族なりの、家族にしかない SUTON の使い方で季節を楽しめます。
庭先や玄関先に置いて、四季をたのしんでみませんか♪